看護学研究科
博士前期課程 母性看護学 研究コース 修了
五十畑 麻奈美
10年の臨床経験を経て、次のキャリアとして大学教員を目指したことが入学の動機です。臨床では看護学生の臨床指導に携わってきました。ご縁があり、実習助手として本学に着任したことをきっかけに、もっと母性看護学の奥深さやおもしろさを伝えたい、新潟県で活躍する看護師?助産師を育成したいという思いから大学教員となるべく、入学を決意しました。
仕事をしながら学業にも専念する上で、タイムマネジメントは欠かせませんでした。バーチカルタイプの手帳を使って、1日の流れを管理し研究に取り組む時間を確保していました。また、プライベートでは小学生と未就学児(当時)2人の母です。子どもとの時間を確保するために“朝活”を取り入れました。夜は子どもと共に布団に入り、1日の話をする時間を設け、一緒に寝てもOKとしていました。その代わりに朝は3時-4時に起きて自分の時間を確保していました。
私は「分娩介助が助産師の気分状態に及ぼす影響」というテーマのもと研究に取り組みました。A県内の助産師を対象とした質問紙調査を行った結果、分娩介助は助産師の気分状態に疲労感と思考の混乱をもたらし、総合的にネガティブな気分状態となる傾向がある、と示され、組織的な取り組みとして、勤務調整や分娩に携わった医師や同僚とのリフレクションの必要性が示唆されました。
多様な看護観に触れ、自分自身の看護観と向き合い、深めていくことが大学院で学ぶ意義であった、と考えています。大学院の講義の多くがディスカッション形式です。一緒に学ぶ同期は、年齢も経歴も様々で、1つの事例に関してもそれぞれが違う角度から物事を捉えディスカッションをするので、自分にはない視点での考察や意見をもらうことができ、自分自身の看護観を深めていくことにつながったと感じています。
今後は大学教員として、教育に研究に邁進していきたいと考えています。看護実践においては対象理解が竞彩足球app下载であると考えていますが、教育実践においても同様であると思います。日々の学生とのかかわりの中から学ぶ姿勢を忘れずにいたいと思います。
また、研究では、妊産褥婦の安全や安心に貢献していきたいと考えており、ケア実施者である医療現場で働く助産師に関する研究を今後も積み重ねていきたいと考えています。
(2023年7月)
看護学研究科
博士前期課程 がん看護学 CNSコース 修了
大野 綾
私は、がん看護CNSを目指したいと思い当大学のCNSコースに入学を致しました。本コースでは、CNSとして臨床経験をされていた教授から直接、指導を受けることができることが決め手となりました。私自身、看護師として働いている際に遺族の立場となり悲嘆を経験したことがインパクトの強い体験となりました。その経験を同じ立場の方のグリーフケアに役立てるのではないかと思い、CNSの資格を取得して遺族に対するケアや研究をしていきたいと思ったのが動機でした。
私は、東京で仕事をしながら長期履修を選択して大学院に通っていました。幸い同級生で遠方から通学していた方が数名いたため、可能な限り同じ日に講義がとれるように同級生どうしで協力と調整を行ったことで、効率よく履修することができました。また、通学のための移動時間を有効活用しながら講義の準備や研究などを進めることができました。職場の協力はもちろんですが、大学の先生方はじめ同級生の方の存在があって両立することができたと思います。
「化学療法を受けるがん患者が免疫細胞療法にむかう力」というテーマで看護研究を行いました。標準治療として化学療法をすでに受けている患者が、さらに免疫細胞療法を併用治療として選択するには、どのような体験や思いがあるのか、そこにどのような力が働いているのか、それらにむかう力に対する看護介入に関して探求を行いました。
CNSとしての6つの役割や看護理論など3年間かけて沢山のCNSや先生方より濃厚に学ぶことができたと思います。授業や実習、周囲の方との関わりを通して、論理的な思考を始め、現状を把握する能力、問題解決に向けた効率的な対策を意図的に調整?交渉する能力が獲得できたと感じています。また、3年間の通学は私にとってチャレンジでもあり、目標を達成するための行動力や忍耐力も身につき、それらの能力はCNSの活動に役立っております。
今後は、CNSとして自己の所属部署以外での活動も行っていきたいと思っております。現在は、所属している医療機関でのケアの方法は確立しつつあるため、ケアの質の保証に関して取り組みつつ、社会貢献として自部署以外でのケアについても視野を広げていきたいと考えております。さらに、看護の研究も継続して取り組み看護の発展に貢献できるよう努めたいと思います。
(2023年7月)
看護学研究科
博士前期課程 老年看護学 CNSコース 修了
柳澤 美直代
入学時は認知症対応型共同生活介護(グループホーム)の運営と利用者様の健康管理を行っており、超高齢化社会のもたらす認知症患者の増加、老老介護、孤独死の問題を目前に、介護事業所を運営している自分に何ができるか、自分だからこそ出来ることとは何かを考えた時に、まずは自身の知識をアップデートすることであると考え、進学を決意しました。
2014年大学院入学当時、4人の子供は小さく、仕事、学業、育児、家事の両立は想像を超えるほど大変でしたが、母や親戚など多くの方の協力をいただいたり、とにかく最優先しなければならないことに集中し取り組みました。気が付くと、地域包括ケアシステムならぬ、自分流システムを構築し、調整する力が養われていたように思います。
認知症の終末期は自身の意向を表現することが困難になります。グループホームで、その人らしい終末期をどのように支援しているのかを明らかにするべく、テーマは「認知症対応型共同生活介護における“その人らしい”終末期を支える看取りケア‐管理者のフォーカスグループインタビューから‐」とし質的帰納的研究を行いました。結果は、入居したときから最期の瞬間まで、一貫して慣れ親しんだ生活様式?習慣(こだわり)と、いままでの生活史や個人の感情を理解し、受け入れていく豊かな人間関係の中で、個人がもてる能力を発揮し尊厳が保たれるように配慮された支援であることが明らかになりました。
大学院修了後は、地域に出たいという思いが強くなり、グループホームとは別に訪問看護ステーションを立ち上げました。訪問看護の依頼が増え始めたころ、竞彩足球app下载の流行があり、感染した高齢者への訪問指示を受けました。認知症によって感染自覚がない方、認認家族の療養指導、複数の持病を持っている方の重症度の判断、介護サービスが全て中断されてしまった方の介護の代行的役割等、悩みながらも実践することができました。このように知識のみならず新たなことのチャレンジ精神も大学院で培われたものであるように思います。
既存のグループホームと訪問看護の質と運営の安定を目指しながら、直近では地域課題研究を通して自身のグループホームの課題解決に向けて取り組んでおります。今後はCNSとして介護職員や家族介護者の介護のヒントになるよう、今までの認知症ケア経験をまとめ、なんらかの形で発信できたらと考えております。
(2023年7月)